脳内で起こっていること

脳内で起こっていること -1-

人の脳や生体機能は、ホメオスタシスによって一定に保たれています。

「ホメオスタシス」は、脳内環境や生体環境を一定に保ち続ける傾向のことです。

そして、人に過剰なストレッサーがかかると様々な反応が起こり、ホメオスタシスで保たれているバランスが崩れます。

それでは、具体的に脳内では何が起こるのでしょうか?

脳内には「コルチゾール」という、別名「ストレスホルモン」と呼ばれるものがあります。

これは、炭水化物や脂肪、蛋白質代謝を制御するもので、人間にとって欠かせないホルモンです。

人が過剰なストレスを受けると、コルチゾールが過剰に分泌されるようになり、それが脳のほかの部位に浸潤します。

脳には「海馬」と呼ばれる部位があり、そこは記憶や学習に関わる役割を担っています。

そしてコルチゾールの影響により海馬は委縮すると言われています。

海馬が委縮する傾向が見られる疾患に「PTSD(心的外傷後ストレス障害)」がありますが、このようにコルチゾールの過剰分泌により、最悪の場合、治療の難しい疾患が引き起こされるのです。

ストレッサーは、大脳から視床下部に伝わり、そこから自律神経系、内分泌系、免疫系と伝わっていきます。

そして、自律神経の乱れや免疫系統の脆弱化などを引き起こします。

つまり、人が過剰にストレスを受けると、生体機能全般にそのリスクが行き渡り、様々な疾患の原因になるのです。

脳内で起こっていること -2-

人が過剰なストレスを受けると、コルチゾールというホルモンが異常に分泌し、様々なストレス性疾患の原因になりますが、ストレス反応に関わるホルモンにはもう一つ「カテコラミン」というものがあります。

カテコラミンは、ドーパミン、アドレナリン、ノルアドレナリンなどの重要な神経伝達物質のことです。

通常、カテコラミンは、身の危険が迫った時などに闘争本能を高めるために分泌されます。

しかしストレスが過剰にかかると、カテコラミンの正常な働きが乱れ、かえって様々な問題を引き起こします。

カテコラミンの働きの乱れによって発症し得る疾患はうつ病、摂食障害、パニック発作など、精神疾患全般に及びます。

また、集中力がなくなり、苛々しやすくなり、私たちがイメージする「ストレス状態」そのものになります。

身体的疾患も起こりやすくなり、カテコラミンの働きを正常に保つことがいかに人間的な生活において重要かがわかります。

人間の脳にあるストレス神経系(海馬、扁桃体、視床下部)はストレスに敏感に反応します。

海馬の委縮がPTSDの原因になることは既に述べました。

そして、そのほかの部位、例えば自律神経を担う視床下部、ストレス反応の中枢を担う扁桃体の活動に乱れが生じると様々な疾患を引き起こします。

つまりストレスは、脳の各部位の健康な状態を崩壊させ、正常なホルモンバランスを乱し、心身全般に影響を及ぼすのです。